木の温もりに包まれた優しい空間に、今日も子どもたちの笑い声が響く。自然豊かな愛知県春日井市で、障がいのある子どもたちの自立を支えて70年、社会福祉法人「若草学園」には大切にしたい思いがある。

 子どもたち一人ひとりの個性を磨き、その可能性を信じて成長へと導きたい。誰もが自らの人生を輝かしいものにするために、施設での暮らしを通して愛情や友情を育みながら自立への道を歩んでほしい。

 あせらず、慌てず、のびやかに。家族、職員、そして地域からの愛をたっぷりと受け、子どもたちは大きく育っていく。

おはようから、おやすみまで。安心して暮らすことが豊かな心を育む土壌

 「1954(昭和29)年、戦争孤児の知的障がい児を受け入れようと現理事長・加藤貫一(かとう かんいち)の父、私の祖父にあたる加藤環(かとう たまき)が施設を立ち上げました。祖父は子どもたちを家族のように出迎えたそうです。

 当時、祖父は子どもたちと寝食をともにしながらその成長を温かく見守り、支えていたそうです。子どもたちと向かい合う姿勢は当時も今も変わりありません。

 朝のおはようから、夜のおやすみまで。園での暮らしを通して生活習慣を身につけ、成長してほしい」

 若草学園の園長を務める加藤圭一(かとう けいいち)さんは、明るい光がたっぷりと注ぐ食堂やホールを見つめて優しく微笑む。若草学園では年齢によってクラスを分けるのではなく、知的障がいの度合いによってグループをつくり、それぞれの能力に適した学びや生活の術を伝えている。

 成長のスピードはそれぞれ違う。年齢を基準にグループ分けを行うと、障がいのレベルに違いが生じ、それぞれができること、できないことのストレスが生まれがちだ。若草学園では、子どもたちの発達にあわせて環境を整えることで不自由を感じることなく各々の力を伸ばすことに重きを置いている。

 現在、若草学園に入所する子どもたちの数は50名。長らく法人施設として継続できる最小単位の定員数で運営を続けてきた。すべては一人ひとりと向き合うため。職員たちのていねいな関わり合いこそ、子どもたちの成長に欠かせない栄養素だ。

食堂

地域とのつながりの先にある社会との関わり

 入所者は18歳で卒園を迎え、社会へと飛び立つ。その時に向けて、施設の外の世界とのつながりを感じることも大切な学びの一つ。生活の場を共有する一住民として、若草学園は地域の学校や企業と連携しながら子どもたちの社会性を育んでいる。

 塀で囲むことをせず、地域と積極的に関わっていくことでこそ社会への扉は開くもの。近隣の廃品回収や町内の清掃活動で汗を流す子どもたちの姿は、地元では自然の光景だ。社会への関わり合いは実を結び、2023年夏、地元ワイナリーが生産するワインボトルのデザイン画に園生のイラストが採用された。
 「地域から愛されるような人になってほしい。そのためにはあいさつや感謝、そして謝ることなども含めて人としての基本を身につけることが欠かせません」

 施設で暮らす時間は一生のうちのわずかに過ぎない。園長として、圭一さんは職員たちとともに子どもたちとの最良の関わり方を常に模索している。

工作

必要な人のために。なくてはならない存在でありたい

 国の福祉政策の変化により、放課後デイサービスなどの障がい児支援の拡充も進んでいる。障がいを持つ子どもとその保護者にとっては、入所施設を利用しない養育のあり方も広がっている。

 「福祉への支援や理解が広がることそのものは喜ばしいことです。ただ、幼い頃は家庭で育てることができたが、大きくなるにつれて関わり合いや対応に難しさを感じてご相談を受けるケースもあります。

 若草学園は障がい児養育への豊かな経験、そして何より子どもたちを愛する職員が多数在籍しています。集団生活の中で学ぶことも多々あります。養育の一選択肢として、親御さんとともに子どもたちの将来を本気で考えていきたい」

 思いを語る圭一さんの言葉に熱がこもる。これからも子どもたちの成長とともに、地域から必要とされる存在として若草学園は歩んでいきたい。


山本労務管理事務所との関係は?

人を支え、地域を支える。確かな信頼関係が安心できる労働環境づくりにつながっていく

 「福祉分野は制度の解釈が難しいことが多い。そんな時にも山本さんはいつもていねいに相談に乗ってくれます」。圭一さんはそう語り、頼もしい目で山本晃大所長を見つめる。同じく春日井市で長きに渡り地元を支えてきた存在として、お互いの信頼は厚い。

 山本労務管理事務所の若草学園への思いは、山本所長が施設の理事を務めることからも伝わってくる。この場所が子どもたちにとってなくてはならない存在であること。その大切な学舎のために、山本所長は惜しむことなくその力を発揮する。

 施設の労務に関しても、制度の変化に伴う職員の処遇改善加算の相談に対して迅速な対応がなされた。その結果は職員の給与に反映され、一人ひとりの働き甲斐の向上にもつながっているという。

加藤園長と担当社労士

取材:株式会社ココロバレ カメラマン:後藤尚代