パートやアルバイトをシフト制で雇用している事業者の皆さま、「うちのスタッフの有給休暇、正しく計算できていますか?」と問われたとき、自信を持って「はい」と答えられるでしょうか。令和8年6月19日、厚生労働省がシフト制労働者の雇用管理に関する留意事項を改正し、長年にわたり現場で判断に迷いやすかった年次有給休暇の付与日数の算定方法について、具体的な考え方が明記されました。今回はそのポイントをわかりやすく解説します。

■ そもそもシフト制の何が問題だったのか?

シフト制とは、労働契約の時点では労働日や労働時間を確定させず、一定期間ごとに作成するシフト表によって初めて勤務日が決まる働き方です。人手不足への対応や多様な働き方ニーズの広がりを背景に普及していますが、所定労働日数があらかじめ定まっていないため、年次有給休暇の付与日数をどう計算すれば良いのか、実務担当者が頭を悩ませるケースが多くありました。今回の改正は、まさにその「曖昧さ」を解消するものです。

■ 改正の最大のポイント:「労働日数の実績」で算定してよい

週何日勤務といった所定労働日数の定めがないシフト制の場合、改正後の留意事項では実際の労働日数の実績をもとに所定労働日数をみなして算出し、年休日数を決定してよいことが明示されました。具体的には以下の通りです。

  • 雇入れ6か月経過後の付与:雇入れから6か月間の労働日数の実績を2倍した日数
  • 雇入れ1年6か月経過後以降の付与:前年の労働日数の実績
  • 労働契約書等に「1か月あたり〇日」などの目安日数が定められている場合は、それを基準日の所定労働日数とみなすことも可(ただし実績ベースの付与日数を上回る場合に限る)

【ポイント】週の所定労働日数が4日以下かつ週の所定労働時間が30時間未満の労働者には比例付与が適用されます。シフト制労働者にこの比例付与をどう当てはめるかについても、今回の改正で整理が加えられています。

■ 有給取得時の賃金計算方法も要確認

年休取得日の賃金計算についても取扱いが追記されました。「通常の賃金」「平均賃金」「標準報酬日額」の3つの方法のいずれかを就業規則等であらかじめ明記しておく必要があります。

【注意】標準報酬日額による方法を選ぶ場合は就業規則の定めに加えて労使協定の締結が必要です。また、労働者ごとにその都度計算方法を変えることは認められません。月給者は通常の賃金、時給者は平均賃金というように就労形態別に区分すること自体は違法ではありませんが、区分の合理的な理由を説明できるよう準備しておきましょう。

■ 事業者が今すぐ取るべき3つの対応

  • 就業規則・雇用契約書の見直し:実績ベースで算定する場合の対象期間・算定式を明文化する
  • 勤怠管理体制の整備:出勤日数・出勤率を正確に記録できる仕組みを整える
  • 有給休暇日数の管理体制の構築:付与日数・取得日数・残日数を適切に把握・管理する

シフト制労働者の労務管理は、法改正のたびに見直しが必要になります。「うちは小さいから大丈夫」と後回しにしていると、未払い有給休暇のリスクや行政指導につながる可能性もあります。この機会にぜひ、自社の労務管理を点検してみてください。ご不明な点は、お気軽にご相談ください。